スタッフブログ
2017-08-04 13:04
パイル織物の町高野口と再織(さいおり)体験
こんにちは♫SNS担当の田上です。
8月になり、夏真っ盛りの今日この頃。
花火にビールに盆踊り。週末になると、地元では夏祭りが行われています♫
地元といえば、ここ高野口町は明治時代からパイル織物の生産地として知られ
国内でもトップクラスの高い生産高を誇っています。
画像
パイル織物とは織物の基布に毛(パイル糸)が織り込まれている有毛布地のことで、独特の光沢と風合いが特徴的。
「アザラシの毛皮に似た布地」ということから別名シール織物・シールメリヤスとも呼ばれます。
毛が抜けにくく丈夫なので、寝装寝具・インテリア用品・洋服やファッション小物・生活用品・ぬいぐるみ・車両用シート・カーマット等、様々な用途に使われています。
今回は地場産業の歴史と文化を知るべく、橋本市高野口町にある『パイル織物資料館』にお邪魔してきました。
画像画像
趣のある良い建物の中に入るとずらっと手織り機が並んでいます
ここでは、パイル織物のルーツとなる再織(さいおり)について学ぶことができ
めずらしい手織りの再織体験をすることもできます(=゚ω゚)ノ
この再織がうまれたのは明治10年のこと。
当時、高野口に在住していた前田安助氏が、その頃ヨーロッパで盛んに製作されていたシェニール織りを参考に独自で研究を重ね創案されたと言われています。
模様の元となる生地を一度織り上げる→タテ糸にそって裁断→モール状の糸に仕上げる→そのモール糸をヨコ糸に使い再度織り上げる
その工程から2度織る=再織と名付けられました。
画像
資料館に当時の製法を伝えるものが残っていたのですが、それはもう気の遠くなるような緻密さと正確さ
なにより根気が必要であっただろうと推察できるものでした。
今はある程度コンピューターで計算できたりするするらしいのですが、それでもやはり新しい柄の開発をするのはとても大変な事なんだそうです。
織りあがった布は綿100%で表裏に全く同じ柄模様を表現します。
画像
気品ある色合いと柔らかで独特の手触りから「幻の織物」と呼ばれ国内外で好評を博しましたが
工程が複雑かつ手作業による技術に頼り機械化の研究が行われなかったため昭和35年頃を境に姿を消すこととなります(´゚д゚`)
歴史ある再織をもう一度甦らせようという動きがあったのは昭和58年以降
紀州繊維工業組合の振興対策事業の一環として機械化の研究に取り組み
試行錯誤の末、今日の新しい再織が完成したんだそうです( *´艸`)
平成10年からは「再織手織り教室」も開催されていて、希望すれば体験教室に参加することもできます。
というわけで今回は、初の再織手織り体験に挑んでみました。
画像画像
イメージしていたものよりはこじんまりとしたサイズ感の手織り機
ちょこんと座るとおさまり具合がちょうど良いです
織り機に触るのが初めての二人
担当の池田さんが優しくレクチャーしてくれます
よくある花柄など模様のあるものは難しいので、まずは「やたら織り」と言って柄のないものを織ることで、打つ動作と横幅を合わせることを覚えます
画像
操作方法はとてもシンプルで、左右の足をペダルに乗せて踏んだり戻したりしながら
横糸をくぐらせて織る、という動作を繰り返します
機織りといえば、真っ先に思い浮かぶのは「鶴の恩返し」ですが
ギッコンバッタンという大袈裟な動きや音をするというより、静かに織り進んでゆくという感じでした
約2時間ほどの体験だったのですが、私個人の感想としては
「ひたすら織り続けたい!」と思えるくらい非常に楽しかったです♫
とにかく集中できます。木の優しい音も心地いいですし、達成感もあります( *´艸`)
画像
教室も見学させて頂けるということで、ちょっとお邪魔してきました。
クラスは週2回で常時6~7名の生徒さんがいらっしゃるとのこと。
教室の方でも最初はやたら織りから始めます。
それができるようになったら、柄を織る事に挑戦!!
約62柄から選ぶことができるのですが、初めての方はだいたいこの16-Aという柄から始めるんだそう(真ん中の黒地の柄)
画像
こんな難しそうな柄、最初から織れるの??と思いますよね?
どうやら糸にガイドとなる印がついているので、それに合わせて織っていけば大丈夫!なんだそうです。
難易度があがると印のないものもありますが、その場合は図案を見ながら合わせて織ってゆくんだそうです。
ちょっと生徒さんにもお話を伺ってみました♫
画像
この爽やかな花柄を織っていたのは地元高野口在住の女性
夏らしくて素敵ですね~♡こちらはミニハンカチ
こんな風に柄を合わせてゆきます
地元の情報誌の広告欄がきっかけで通い始め、もう約3年ほどになるんだそうです
教室について尋ねてみたところ
「とにかく織っているのが楽しい!!作れるものも実用的なので自分でも使いますが、プレゼント用にもよく作ります。
この場所も好きで、何もなくても来たくなるくらい」
と満面の笑みで答えて下さいました(*^^*)
特にマフラーがお気に入りで今まで30本は作ったとのこと
プレゼントにすると、とても喜んでもらえるんだそうです( *´艸`)
自分の好きな色が選べたり、組み合わせ次第で自由度が高いのも醍醐味と仰っていました
画像
こちらの生徒さんが織っていたのは、鮮やかな黄色に美しい模様
これはトイレのタオルとして使う予定なんだそうです
パッと華やぐ美しさがありますね♬
再織で織った布地はとても肌触りが良いのですが
綿100%ということもあり、吸水性が抜群で洗濯もしやすい
そしてとてもよく乾くんだそうです!
手を拭いたハンカチくらいなら、夏場なら鞄に入れていてもいつの間にか乾いていたりするんだそうで
普段使いにぴったりですね(*´ω`*)
この方は、再織のハンカチをもらったことがきっかけでここに見学に来て、その場で受講を決められたそうです。
お休みもありながらトータルで2年くらい経つそうなんですが
なんと岸和田の方からバスや電車を乗り継ぎ約二時間半!もかけて通っているそう
「何も考えず夢中になれるし、作品ができるととても嬉しい。
先生の指導も良いし、生徒さんもいい人ばかりでここに来るのが楽しいんです(*^^*)」
と、嬉しそうにお話してくれました。
お二人ともベテランさんなので、タオルくらいのサイズだと3時間半ほどで織ってしまうんだそう‼
すごいですね~
個人差はありますが、平均的に1クール通えば一人で柄を織れるようになるそうです。
画像
こんな風に好きな色でボーダー模様を織っている方もいらっしゃいました
再織=黒地に花柄のイメージが強かったのですが、実はやり方次第でかなりオリジナリティのあるものが作れるんだなというのが一番の発見でした。
教室で織ったものは、希望があれば業者さんに出して加工もしてくれます
エプロン・帽子・鞄・ポーチなどは寸法や形に希望があればかなり忠実に再現してくれるんだそうです。
自分の織った布で世界にひとつだけの再織をつくることもできますね!( *´艸`)
画像
過去には織物好きな方が横浜から通われたり、生徒さんに教える為に再織を勉強したいと千葉の方が泊まり込みで来られることもあったり
男性の方で10年近く通われた方も!
今通っている生徒さん達は、和歌山の紀北地方や南大阪方面からの方が多く
リピーターさんや口コミで来た方が殆どなんだそうです
確かに、講師の池田さん、杉村さんもとても気さくで話しやすい方で生徒さんも明るく楽しい方ばかり♫
こんなにも和気あいあいとした雰囲気だったら通いたくなってしまいますね。
さて、この日の体験で出来上がった作品がこちら
画像
カラフルですごく可愛いですよね~
古風なイメージのあった再織ですが、こんな柄だったら年齢問わず取り入れやすい♬
柔らかい風合いなので、とにかく手触りがいいのも嬉しい
今回は約50グラムの糸を織って40センチくらいの仕上がりです。
しかし、自分の織ったものをよーく見てみると
布の幅がちょっと狭い箇所があったり、ゆるくなってる目があったり・・・
糸の引っ張り具合や力のかけ方ひとつで仕上がりが変わってくるんだそうです
実際に体験してみてから、プロの方の作ったものをみてみると
その出来栄えの違いびっくり(;゚Д゚)当たり前ですが…(*ノωノ)
デザイン画を描き 糸を作り 織るところまで
沢山の職人さんの技術を必要とする再織という織物
近代化された今も、1日に15m程しか作ることができないというのも頷けます
こういった体験をすることでいつも思うのは
こんな風に人の手で作られていく物の良さ
量産される物とは違う、温かみや風合い、歴史に裏打ちされた確かな品質
”モノ”としての価値 そして ”ここにしかない”という価値
歴史ある産業に触れる機会はなかなかないもので、貴重な経験をさせて頂くことができました(*´ω`*)
復活した再織は、その独自性からまた評価が高まりつつあり
ファッション、インテリア用品等への新たな展開が進められています
「高野口パイルのブランド」を発信するための展示会も毎年開催されていて
2016年は東京原宿のラフォーレ原宿において約1000人を動員(=゚ω゚)ノ
自社製品の特長や強みをアピールする絶好の機会となっているんだそうです
画像画像
ものづくりが好きな方、手芸や編み物、ファッションが好きな方
この記事を読んで興味を持たれた方は一度足を運んでみて下さいね♬
再織の手織りもぜひ体験してみてください( *´艸`)
紀州繊維工業協同組合の西さん、再織手織り講師の池田さん、杉村さん
今回はお忙しい中ご協力頂きありがとうございました(*^-^*)
★今回お邪魔した「パイル織物資料館」の情報はこちら★
画像
〒649-7205 和歌山県橋本市高野口町名倉1067
TEL:0736-42-3113
http://www.koyaguchi.com/siryo.html
定休日:土曜・日曜・祝祭日・年末年始・お盆
駐車場:あり
見学可能時間:午前8時半~12時/午後13時~17時半(見学は無料)
◆再織手織り体験
受講料:2000円+材料費(500~1000円)
所要時間:約二時間
◆再織教室のご案内
曜日:火・木
時間:13時30分~16時頃
料金:1クール(週1回×4)5000円+材料費
※見学及び体験等は要予約。詳しくはお問い合わせください。
(C) 車のフロアマット製造直販 FJ CRAFT