和歌山県橋本市 フロアマット製作専門のFJ CRAFTは、縫製の美しさにこだわった商品を日本全国に販売しております。

スタッフブログ

2017-10-03 16:47

ワンオフさせていただきました♫



こんにちは~SNS北村です☆
先日、特注品の型取りでお邪魔しました
「NAKAOKA SS」さん

和歌山県橋本市隅田町、のどかな山間にある車の修理場
最初に、訪れた時に感じた正直な感想でした

最初に出迎えてくれたのは、社長のお父様 
程なく、シャイなはにかみ屋の青年が、今回マットの型取りをする車まで
案内してくれました
それが今回、この取材の主役の中岡聖(きよし)さん

FJCRAFT社長とは、実は同じ高校に通った同級生
何年か前に同じような、マットのご注文がきっかけで、いくどかお仕事の依頼をいただいています

中岡さんが指差した先に鎮座していたのが「ダッチラム」というピックアップタイプのトラック
見るからに、アメ車の顔つきで今日の仕事が大変そうな兆しが漂います

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FJCRAFT社長と、工場長が自ら、中を拝見 作業に取り掛かります

中岡さんが、申し訳無さげに「もう一台有るんですけど・・・」
「取りに行ってきますね」。。。

待っている間に相手してくれたのは、黒ねこ店長

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数分後、中岡さんが戻って来られて、乗ってこられたのがこちら。。。




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年季の入ったシェビーバン
中を拝見させて頂くとびっくり!!!

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内装は、ほとんど剥がれており導線もむき出し
ドアは、窓から手を伸ばし外のレバーで開閉


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辛うじて、運転席と助手席
二列目に座席が2つ
「すごいですね・・・ヮ(゚д゚)ォ!」



次第に、私たちは中岡さんの事が気になり始めました
旧車をレストアして、お客さんに世界にひとつだけのピカピカの一台に仕上げる仕事
まるで、移植手術

天井は、すでに中岡さんが貼り直した「メキシコのサラペ」すごくセンスいい♫
今ある骨組みだけの状態から、レストアして乗れる状態になるまでどれほどの手間と
時間がかかるのだろう

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元々、お祖父様が「モーターコイル」の工場を経営されていたそう
「モーターコイル」?
回転運動で、電気エネルギーを作り出す仕組み
フレミングの左手の法則がその動作原理として説明される

そう言えば、そんなこと教科書に書いてありましたっけ?

お父様が、その会社を継がれましたが次第に従業員も家族だけになり
今から14年ほど前にクルマの修理工場を始めたそうです
その「モーターコイル」は今でも病院や、大きな建物での停電時に作動する発電機の部品としてのシェアがあり、手作業で一つずつ巻いて作られるそうで、大量生産ができないこともあり需要があるそうです

車の修理場の奥にその「モーターコイル」の作業場がありました

友達にどうしてもって頼まれた、納期に期限がないものだけを預かっているらしく
スポーツカー・アメ車・ピックアップなど
部品を集めるのも大変そうな車種ばかり・・・


ちなみに、中岡さん最初に乗った車はトヨタの86、
10代に始まった車への情熱
今は、アメ車に夢中です



本題に戻りまして・・・
この型取りのアメ車2台は、限りなくご友人に近いお客様から預かっている車でした。
レストアして、乗り出せる状態まで中岡さんが一人で少しずつ組み立てています
実は、このレストアの仕事はほとんどがサービス
「お客さんからは、ほとんどお金もらってないんですよね
好きだし、楽しいから材料費だけで利益はほぼいただいていません
だから、そこからの繋がりでレストアの仕事も頂きますがお断りしているんです」

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アメ車専門店とか、ヴィンテージ車修理とか、看板を上げていませんでした
なので、「いつでもお気軽にご相談下さい」
とは、言えないし、言わない・・・


ピックアップトラックの専門誌「Custom Trucks Magazine」にそのご自身や奥様の愛車が取材してもらってと、掲載記事を見せていただきました
すごく格好良い倉庫の写真でした

「倉庫って近くにあるのですか?」
「5分くらいのところにこんな車が10台ほどありますよ」
「ええ~、見せてもらえますか?」

快く笑顔で「いいですよ」と返事をいただきました

期待に胸膨らませ、5分ほど車で移動した先は、ご近所のとある繊維会社の倉庫
中岡さんが、車好きの仲間と借りているらしいく
薄暗い、埃っぽい倉庫の奥に広がった光景は・・・

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あの、「Custom Trucks Magazine」に乗っていたあの写真そのもの風景

「それぞれの持ち主が来たい時間に来て、少しずついじっています」
シボレーC1500 シボレーブレーザーや、フィアット500から
懐かしいスポーツカー日産180sxだったり、軽自動車まで

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薄い陽の光がカバーの被った大きな車体に降り注ぐ
何台も、重なり合って静かに眠ったままの古い車の数々

ただ、命の吹き込まれるのを待つ巨体

手前のトラックは、明らかに様子が違いました

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「スズキ マイティーボーイ」
とても小さなピックアップトラックは、綺麗にブラウン色に塗装されてボンネットには手書きでデザインされたピンストライプのラインが
あれ?線繋がってる・・・
まるで、点滴につながれているかのような線が電源から車内の何処かにチャージされていました


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至る所に、部品がむきだしの無機質なクルマたち



少しずつ幾つもの工程を経て、やがて息を吹き返す
とても気の長い作業


一本の電話がなり、「あっ、了解です」

「このマイティーボーイの持ち主から、このマットも作って欲しいって」

まさかの、この子が出動!!!
中岡さんが、運転席を覗き込んでキュルキュルキュルキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

1988年に販売中止になった経緯を考えると、かれこれ少なくとも30年前の車!!!
まるで、新車のようにピカピカに蘇る姿が目の前で・・・
「先に、工場に戻りますね」
と言って、高いエンジン音を倉庫の中で響かせて走り去っていきました


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何気に、お邪魔した今回の型取り取材
私たちにとっては、とても有意義な時間で中岡さんのキラキラした目で話してくれた
そのすべての言葉にとてつもない車への深い愛を感じずにはいられませんでした

私たちと同じく数十年前から存在していたその車達が、丁寧に磨かれ新しい部品に置き換えられ
そして、息を吹き返す
力強く高らかに鳴るであろうエンジン音を想像すると本当に鳥肌が立ちました

次々と、時代が流れて新しい便利な機能を搭載された新車たちは、
いつも
眩しい光の中、ガラス張りのショウルームでキラキラしています

同じ、クルマという乗り物
なのにそれとは、また違う
何十年前に作られたそれぞれに思い出の詰まった一台を、大切にしている姿に
いろんなことを考えさせられたひと時でした

やっぱり、クルマって面白い

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一ヶ月後・・・
マットが出来上がり、納品させていただくことになりました

三台分の特注ということで、たっぷり製作時間をいただき装着させていただくことになり、季節は10月。
稲穂が頭をもたげ、コスモスが咲いています。

久し振りにお会いした中岡さんは、相変わらず優しい笑顔で出迎えていただきました。
早速、「マイティーボーイ」に装着

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ぴったりフィット
塗装と同じキレイなチョコレート色
ハンドルに合わせた、オレンジのオーバーロック

さすが、色の配色もピッタリです

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こちらは、シェビーバンの運転席

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2列目もピッタリです

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今回の依頼主は、中岡さんでしたが
この車のオーナー様に気に入って頂ければイイなあと思うばかりでした
内装パネルも装着されていて、少しずつ仕上がっている感じが楽しみでなりません


毎回、感じるのはオーナー様や、そのクルマに携わっている人たちの揺るぎない愛情
ただの道具としてではない、相棒のような存在

そのクルマは他の誰のものとも違う唯一無二の存在で、そしてかけた時間の分
オーナー様に幸せな時間を返してくれます




FJCRAFTでは、幾度となく今回のようなご依頼を頂きその度に、
オーナー様の幸せな時間の一端を、担っていることを感じずにはいられません